第161章 彼が大事にしている人間を、おろそかにできる奴がいるかよ

「始めるって言ったら、もう始めるよ」

そう言い終えるや否や、南雲玲奈はスマホを取り出し、メモアプリを開いた。

小泉大輔も無駄な前置きはしない。短く思考を巡らせると、これまで遭遇した負傷例を、細部まで漏らさず語り始めた。

玲奈は真剣に聞き、真剣に書き留める。表情も、さっきまでの興味津々から、みるみる硬くなっていった。

彼が話しているのは、あくまで「妙な症状」の羅列にすぎない。

それでも、その断片だけで当時の危険度が伝わってくる。

目で見て分かる外傷は、まだいいほうだ。

厄介なのは、原生林に入ってからの、正体不明の感染。

環境や気温が引き金になるものもあれば、危険な植物、動物や昆...

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